食品の家庭備蓄
災害時に困るのが「食べる問題」です。普段から災害時に備えた食品の家庭備蓄をすすめましょう。
農林水産省では「災害時に備えた食品ストックガイド」として、備蓄に適した食品の選び方、ローリングストック法等による日頃の活用方法、災害時に役立つ簡単レシピなどの実践的な内容を取りまとめ公開しています。
その中から、いくつかご紹介します。
災害時に備えた食品ストックガイド
「災害時に備えた食品の家庭備蓄」と聞いたとき、どのようなイメージを持ちますか?
「何からはじめればいいか分からない」「毎日忙しくて、そこまでやる余裕がない」「一度やってみたけど、なかなか続かない」「備蓄のためのスペースもお金もない」など、日頃はついつい先延ばしにして考えがちではありませんか?
しかしながら、大きな災害が発生し、物流機能が停止した場合、スーバーマーケットやコンピニの店頭で食品が手に入りにくくなります。また、電気・水道・ガスなどのライフラインが停止した場合、日常生活とはかけ離れた環境で生活しなければなりません。そんな時、いつもと変わらない、温かく、栄養バランスのとれた食事があれば、心と体が満たされます。また、被災時でも、毎日変化に富んだおいしい食事があれば、前向きな思考と、元気に活動するためのエネルギーが湧いてきます。
このガイドでは、普段の暮らしを少し工夫するだけで、無理なく災害時に備える方法をご紹介します。
近年、災害が頻発しているわが国において、安心して暮らすためには、食品の家庭備蓄を非日常のものと考えるのではなく、日常の一部として普段から無理なく楽しみながら取り入れていくことが大切です。このガイドを活用して、いざという時でも自分や家族を守り、心のゆとりを持つことができるよう、必要な備えを進めましょう。
過去の経験によれば、災害発生からライフライン復旧まで1週間以上を要するケースが多くみられます。また、災害支援物資が3日以上到藩しないことや、物流機能の停止によって、1週間はスーパーマーケットやコンビニなどで食品が手に入らないことが想定されます。このため、最低3日分~1週間分×人数分の食品の家庭備蓄が望ましいといわれています。
あなたの食生活別 選び方のヒント
簡単!「ローリングストック」
「ローリングストック」とは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。
ココがポイント
費用、時間の面で、普段の買い物の範囲でできる
買い置きのスペースを少し増やすだけで済む
備蓄食品を用意する際の分類のヒント
備蓄食品は、大きく分けて「非常食」と「日常食品」の2種類があります。
主に災害時に使用する「非常食」だけでなく、日常で使用し、災害時にも使えるものを「ローリングストック」としてバランス良く備えることが大事です。また、外出中に災害が発生することを考えて、普段から持ち歩く飲料水やチョコレートなどの「持ち歩き用品」も備えておけば万全です。
備蓄食品の選び方
日頃から、栄養バランスや使い勝手を考えて各家庭に合った食品を選ぶことが大切です。
災害直後は炭水化物ばかりになりがち
エネルギー源となる炭水化物はとても重要ですが、栄養バランスを考慮しないと、体調不良や病気になる可能性があります。
たんばく質をとるためには缶詰がおすすめ
ツナ、サバ、イワシ、サンマなど魚介の缶詰や、コンビーフ、牛肉の大和煮、焼き鳥など肉類の缶詰など、缶詰は長期保存ができる上、手軽にたんぱく質をとることができ、経済的なのでおすすめです。
便秘・ロ内炎など体調不良を起こしやすい
大きな災害時には野菜不足からビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素がとれず、便秘・ロ内炎などに悩んだという声が聞かれました。ビタミン、ミネラル、食物繊維をとるための野菜を常備
じゃがいも、たまねぎ、かぽちゃなどの日持ちする野菜を、日頃から多めに買い置きしておきましょう。また、乾物もおすすめです。野菜ジュースやドライフルーツなども、あるといいでしょう。
不足しがちなたんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維などを摂取できるようバランス良く備えましょう。
家庭備蓄をしながら、好みの味の缶詰やレトルト食品を試してみよう
備蓄食品を、「災害時に食べる一時しのぎのもの、あまりおいしくない食べもの」と考えてはいませんか?
いえいえ、今は味にもこだわった缶詰やレトルト食品がたくさんあります。
あなたや家族の好みの味を見つけるためにも、「ローリングストック」を実行して、おいしく食べながら好みの食品を探してみましょう!
命をつなぎ止める水
ライフラインの停止に備えてどの家庭でも必ずストックしておきましょう。
水は生命の維持に欠かせないものであり、料理、飲料として食事や食間などに十分量をとる必要があります。
水の備蓄方法とその内容を紹介します。
注)湯せん、食品や食器を洗ったりする水は別途必要
日常的に飲んで買い足す。
定期的に水が配達されるウォーターサーバーもおすすめ。
注)停電時も水が出せるタイプが災害時も安心
水道水の備蓄
水道水は、塩素による消毒効果により3日程度は、飲料水として使用可能です。フタのできる清潔な容器に口もといっぱいまで水道水を入れて、しっかりとフタを閉め、直射日光を避けて、室温の低い所に保存しましょう。
長期保存型の水の備蓄
保存水と呼ばれるミネラルウォーターの賞味期限は、5年~10年。通常のミネラルウォーター(約2年程度)の2倍から5倍ほど長持ちするので、備蓄用の水として最適です。
その他の飲み物(お茶など)
水以外にも、日頃から飲んでいるお茶や清涼飲料水などがあれば一緒に用意しておきましょう。
熱源を確保しよう
熱源を確保すれば災害時の食の選択肢が大幅に広がります。
出典:農林水産省Webサイト「災害時に備えた食品ストックガイド」をもとに日本地震再保険作成
災害時のトイレ
地震の発生により断水、排水管の破損により上下水道が使用できず、停電により家庭でのトイレが使用できなくなる可能性があります。
そのため、事前に家庭やオフィスで市販の携帯トイレ、簡易トイレを用意しておきましょう。
また、国土交通省では災害時のトイレとして、避難所などでのマンホールトイレの普及啓発を行っています。
東日本大震災では宮城県東松島市、2016年熊本地震では熊本市がマンホールトイレを活用しました。
国土交通省では、災害時に快適なトイレ環境を確保し、被災者の健康を守るため、被災者が“使いたい”と思えるマンホールトイレを整備するための配慮事項等をとりまとめた「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」を公開しています。